めっき液について


無電解めっき液のリンの含有量は一定ですか。

皮膜中のリン含有量は、めっき液の組成、浴の温度、pH、ターン数(亜リン酸イオンや硫酸イオンの蓄積)の影響を受け、一定ではありません。
一般的には、次の関係が成り立ちます。

  1. めっき温度、pH:高いほどリン含有量低くなります。
  2. ターン数:老化するほど、リン含有量高くなります。
  3. 硫黄系添加剤:添加すると、リン含有量下がります。

連続タイプのめっき液の場合、建浴から徐々にリン含有量が高くなっていくので、例えば、リン含有量を10~12%等、範囲を決め、その範囲内で管理することになります。
電気透析システム「CirVEX®」を導入することにより、亜燐酸イオンや硫酸イオンの濃度を一定範囲にキープすることが出来るため、リン含有量をかなり狭い範囲で管理することが可能となります。


前処理の酸洗と酸活性の違いは何ですか。

作業的には同じです。
酸洗い:酸化膜の除去など前処理目的の処理
酸活性:めっき前に品物の表面を活性化


めっき速度とpH・温度の関係について教えて下さい。

一般的に次の関係が成り立ちます。

  1. pH:高いほど、めっき速度早い。
  2. 温度:高いほど、めっき速度早い。

但し、どちらも上げすぎるとめっき液が分解したり、濁ったりする原因になりますので、取説の範囲内で使用するようにしてください。取説の範囲を超えて使用する場合は、シューマー事業部にご相談ください。


めっき膜厚の簡単な計算方法を教えて下さい。

皮膜重量から膜厚を測定することが出来ます。
皮膜重量の測定には小数点以下3桁(0.000)まで秤量可能な電子天秤をご用意ください。
膜厚(μ)=皮膜重量(g)/表面積(cm2)/比重(g/cm3)×10000
       皮膜重量(g)/表面積(dm2)/比重(g/cm3)×100
皮膜重量(g)=めっき後重量(g)-めっき前重量(g)
めっき速度測定用のテストピース(0.189dm2)は弊社でご用意していますので、ご入り用の場合は、シューマー事業部にご相談ください。


めっき槽の素材は何が好ましいですか。

SUS316が最適でSUS304も使用可能です。SUS製のめっき槽は硝酸でパッシベーションすることにより、不動態皮膜を形成することができるので、無電解めっき用のめっき槽として最適です。樹脂製(PVC等)のめっき槽も使用できますが、老朽化が進むと表面に傷が付き、めっき槽にめっき皮膜が析出しやすくなります。


無電解めっき液を使用する際、フィルターポンプ・自動分析補給装置は必須ですか。

フィルターポンプはザラを低減するために必要なものです。また自動分析補給装置はめっき浴のpHや濃度を一定に保つために必要なものです。(もちろん手分析でも対応可能です)両設備ともに当社の長年のノウハウを反映したものであり、無電解めっき液をより効果的・効率的にご使用いただくことができます。


めっき廃液はどのように処理をすれば良いのですか。

基本的には専門業者に引き取っていただくことになります。海外ではめっき廃液を希釈し、自社内で廃液処理をしているケースもあります。また当社開発のReVEX®では、めっき廃液からニッケルを回収することも可能です。